[登場人物]
でんりょクラゲ:今回は冴えている賢いクラゲ=「スマートクラゲ」
でんりょクラゲ父:今回もなんでも知ってるとっても賢いクラゲ=「ベリースマートクラゲ」
電太くん:HEMS?なにそれ難しそう。
スマートハウスのお話し
HEMSって何?
ねぇ。
テレビで将来、家族で遊園地に行っていても、遊園地からスマホでおうちの暖房を操作したり、お風呂を沸かしたりできて、帰ったらお家があったかくなってるって言ってたけどホント?
うーん、それはHEMS(Home Energy Management System、ホームエネルギーマネジメントシステム)のことかな?
なにそれ?難しそう。
あっわかった。家の家電を集中管理するシステムのことだね。1つの賢いコンピュータが家にある全部の家電をコントロールするんでしょ?そのコンピュータにスマホでアクセスしたらできるんだよね?
おお!さえてるね。そうだよ。
あれれ?それってスマートメーターでできないの?
うーん、実はねスマートメーターができるのは、各家庭がどの時間にどれだけ電気を使用しているか、時間ごとの総量をチェックすることなんだ。
だから例えば冷蔵庫、テレビ、湯沸かし器、掃除機、冷暖房機などの各家電製品が個々でどれだけ電気を使用しているかはわからないんだ。
この時間に湯沸かし器を使ったから電気の使用量が急に上がったのかしら?という予測は立てることができるけどね。
だからそれを1つの賢いコンピュータに情報を集めて集中管理させるんだね。それがHEMS(Home Energy Management System、ホームエネルギーマネジメントシステム)だね。
そうそう。そうするとね、集めた情報をもとに、「あれ?湯沸かしポットって沸かすときにものすごい電気代がかかるんだ。
もしかして保温の方がお得かな?」とか「冷房って、つけたり消したりよりも、もしかして低い温度でつけっぱなしの方がいいの?」とか、「真冬なのに冷凍庫の設定が「強」は無駄かな?」とかそういうことが具体的な数値でわかるんだよ。
だからね、節電プランも作りやすくなるんだ。
へぇーすごいね、カッコイイ!アニメのお手伝いロボットみたいだね。
それがHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)で集中管理できている賢い家=「スマートハウス」ということなんだね。
その通りだよ。よくわかってるね。
スマートハウス実現に向けての課題
うちもはやくスマートハウスにならないかな?おもしろそう。
うーん、それがね。その前にしないといけないことがいっぱいあるんだ。
あれれ?できないの?知らなかった。
たとえばね、冷蔵庫と家電のみんなを管理するコンピュータがお話ししようとすると、共通の言葉でないと通じないよね。例えば雷太くんは近所に住んでいる外国から来た英語の先生とお話しできるかな?
できるよ!ボク、ハローって言えるもん!ハローって「こんにちは」って意味でしょ?
ははは、じゃあ「ボクの今の電気代は、モードが「強」なので、1か月280円です。モードが「中」だと1か月250円です。」ってお話しできるかな?
難しすぎる…。
ぜったい無理!むりだよ。
家電も同じなんだよ。詳しい情報をやり取りするには、共通の言葉ができないといけないんだ。実際は「英語」じゃなくてコンピュータ独特の言葉なんだけどね。
じゃあ、冷蔵庫も掃除機も洗濯機もポットも賢くなって同じ言葉をしゃべられればいいんだね!
その通り。でもまだ早いよ。例えば掃除機が家にあるコンピュータ=パソコンと同じくらい賢くなるか、お話しできるくらい賢くなるとするよ。
そのためにはIOSという頭脳の役割を果たすソフトウェアをパソコンみたいに掃除機にも入れないといけないのだけど、掃除機にスイッチを入れてからパソコンみたいに、起動に3分ぐらい掛かったらどうなる?
うわー、大変!ママが怒っちゃうよ。「もう、忙しいのに!」って言いそう。
そうなんだよ。掃除機やポットが賢くないのには訳があるんだ。いろいろなお話ができない代わりにすぐ動いて、すぐ止まる。機能を絞って使うものだけ選んで入れているから、サクサク動いて便利なんだよ。
なるほど。簡単には家電はパソコンとお話しできるくらい賢くなれないんだね。大変な問題があるんだね。
そうなんだ。だから家電を1つのコンピュータ(パソコン)で集中管理するには家電全部が同じ言葉(=同じ規格)でしゃべれるようにならないといけないし、そのためには、共通の言葉がしゃべられて軽くてサクサク動く家電用の頭脳(IOS)を開発しないといけないんだ。
その前に規格とか基準を作って家電業界で「これが共通語だからね」という合意も必要なんだよ。だって、みんながてんでバラバラの規格(言葉)を作ったら、お話しできなくなるよね。
なるほど。家電がおしゃべりするための規格をつくらないと例えば冷蔵庫と掃除機が「中国語」をしゃべって、お風呂が「フランス語」をしゃべる、ポットは「スペイン語」ってみたいなこともありうるんだね。
それじゃあコンピュータが「英語」しかできないとお話しできないね。
その通り。実際は「中国語」、「フランス語」、「英語」じゃなくて、それぞれのコンピュータ独自言語だけどね。まぁコンピュータは賢いので、「英語とフランス語と中国語はできます。あとはわかんない」ってなると思うけどね。
だから今のインターネットの世界のようにとりあえず英語で話せば世界のみんなと通じるよね?って共通語や合意は必要だね。家電の場合は、もっとちゃんとした取り決めが必要だけど。
スマートハウスと電力自由化って関係ある?
うーん、難しいけどなんとなくわかったよ。でもなんでそれが電力自由化と関係あるのかな?わかんないよ。
いいところに気が付いたね。一見関係なさそうに見える電力自由化はスマートハウスが完成するためには欠かせないことなんだよ。
電力自由化によっていろんな産業の人たちが、電気の世界に関わるようになったよね。
うん。
そういえば、このあいだ勉強したね。電力業界以外の通信会社やガス会社、家電販売店だけでなく、車メーカーもこっそり発電システムをEUで研究しているらしいね。
そうなんだ、電気代が安くてお得になるかもだけではなくて、いろいろな産業が境界を超えて集まることによって、イノベーション(技術革命)が起こって、消費者に便利な新しい技術が生まれたり、産業が興ったりするかもしれない。
さらに国はそんないろんな分野のことがわかる総合的に強い会社を作って、国際競争力をつけたいと考えているんだ。
ほぇー。なんかすごいお話になってきたね。
電力自由化には実はそんな狙いもあるんだよ。
まとめ:実現すれば私たちの暮らしは進化する
スマートハウスが実現したら、エアコンをちゃんと消したか不安になって家に帰るなんてこともなくなるんだね。しかも家に帰ったらもう快適な状態になってるなんて最高だなぁ……
その実現に、電力自由かも一枚噛んでるんだね。
でもボクはとりあえず、おうちに帰ったら、すぐにおやつが食べられたり、ゲームができるのがいいな。
ははは。もうすぐそんな時代になるよ。