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今回の目次
エアコンは、設定温度を変えると電気代が高くなる
エアコンの暖房をつけてるけど、なかなか温かくならないなぁ……よぉし設定温度をあげよう!
いいぞ、電太くん!風量も強風にして、ガンガン温めよう!!
おいおい、今日はまだそんなに寒くないだろう?もったいないじゃないか。
お父さん、もう十分寒いよ!せっかくエアコン付けてるのに寒いままじゃ余計にもったいないじゃない。
じゃあ設定温度を上げる前に、ちょっと見せてごらん。ふむふむ。
ピッピッ
よし、これで温かくなるはずだよ。
え?設定温度も上がってないし、風量も自動運転のままだよ。何を操作したの?
設定温度を上げなきゃ温かくなるわけ……あれ?だんだん温かくなってきた気がする!
お父さん!どうやったの?
ふふふ、実は今は風向を変えただけなんだ。
設定温度を変えるとエアコンの電気代はとても高くなるんだけど、設定温度を変えなくても部屋を温めたり冷やすたりすることはできるんだ。今日はそれをいくつか紹介するよ。
設定温度を変えずにできること
風向を変える
熱の伝わり方には「熱伝導」「熱対流」「熱放射」の三種類があり、エアコンはこのうち「熱対流」を利用して室内の温度を調整しています。
水でも空気でも、温かいものは軽く、冷たいものは重い、という性質があります。これには流体が温度変化によってその密度を変えることに原因がありますが、今は、「温かい水や空気は上に、冷たいものは下に行く」ということだけ覚えておいてください。
例えば、やかんでお湯を沸かすとき、やかんの中の水は主に熱対流によって温められます。
加熱した部分の水が温められ
↓
温められた水は軽くなり、熱対流によって上の方へ行きます
↓
↓
下に押し出された水は加熱され温かくなります
↓
さらに熱対流を繰り返し
↓
↓
↓
やかん全体が温まります。
エアコンも同じ原理を利用して部屋を温めているので、風向によって効率が大きく変わります。
冷房を使うときは風向を上に、暖房を使うときには風向を下にすると、熱対流によって効率よく部屋の温度を調整することができます。
冷房を使うとき
冷房を使うときに風向が下向きになっていると、冷気がそのまま下にたまって、部屋全体が涼しくなりません。
このように、風向を上向きにすると、冷やされた空気は下へ降りてきて、熱い空気は上に押し上げられます。
そこで冷やされた空気はまた下に……というように熱対流が起こり、部屋全体を涼しくすることができます。
また、扇風機は電気代がほとんどかからないので、冷房の温度を下げるくらいなら、扇風機を同時に使う方が節約になります。
扇風機の風が冷気を部屋全体にいきわたらせてくれるので、単純に風がきて涼しいという以上に冷却効果があります。
暖房を使うとき
暖房を使うときには、冷房とは逆で、風向を上に向けると暖気が上にたまり、部屋全体が温かくなりません。
風向を下に向けると、下で温められた空気が上に行き、冷たい空気は下に押しやられます。
そこで温められた空気はまた上に……というように熱対流が起こり、部屋全体が温かくすることができます。
こちらはファンヒーターを同時に使うことはあまりおすすめできません。ファンヒーターはエアコンと同じくらい電気代がかかるため、そうするくらいなら設定温度を上げてしまった方が結果的に安く済みます。
室外機の周りをきれいにする
エアコンは「ヒートポンプ」を利用して室内の温度を調整しています。
「ヒートポンプ」とは、部屋の外の空気中の熱を集めて暖房の熱に利用する方法です。室外機についているファンで外気を吸い込んで、また、部屋の中の空気を吹き出すことで熱交換をしています。
ところが、室外機のファンの近くに障害物があると、熱交換が上手くいかず、冷房効果も暖房効果も弱まり、電気の無駄になるというわけです。
また、雑草や枯葉などを放置していると、ファンに入り込み、故障の原因になることもあります。
電気の節約のためにも、エアコンを長持ちさせるためにも、室外機の周りはきれいにしておきましょう。
風量を強める?温度を上げる?
風量を弱にするよりも自動運転にした方が電気代の節約になるというのは最近よく言われていることですが、それでは寒いというときもありますよね?
そんな時は、自動運転のまま設定温度を上げるよりも、設定温度は変えずに、風量を強や急に強めてください。
当然自動運転よりも電気料金は高くなってしまいますが、それでも設定温度を上げてしまうよりは安く済みます。
最初にも言いましたが、エアコンが一番電力を消費するのは温度を変える時です。
弱風より自動運転の方が良いと言われる理由もここにあります。
弱では、部屋の温度を上げきる、もしくは下げきるまでに時間がかかり、その間に電力を消費するしますが、自動運転なら、温度を変えるときは強風で一気に上げ下げするため、結果的に電気料金は安くなります。
同じように、設定温度を変えてしまうと、その温度に帰るために電力を大量に消費してしまうため、風量で体感温度を調節した方が電気代はかからないというわけです。
まとめ:設定温度は極力いじらない
設定温度を変えなくても温かくなる方法がこんなにあったんだね!あと、自動運転の方が弱風よりもお得だってことも僕は知らなかったなぁ。
まさか風向を変えただけでこんなに温かくなるなんて思わなかったよ。熱対流を知っておくと夏でも冬でも快適に過ごせるね!
そうだね。設定温度を変えるのは最後の手段で、まずは風向や風量で体感温度を調整しよう。それでも我慢できない時には仕方ないけどね。
あっ、そうだ!せっかくだから、室外機の周りに物が置かれてないか、外に確かめに行ってみようか!
……もう少し温かくなったらね。