でんりょクラゲ:フリー電力星からやってきたクラゲ。地球の夜景に驚いている。
でんりょクラゲ父:でんりょクラゲのお父さん。地球の夜景についても詳しい。
電太くん:地球人の男の子。神戸の夜景をでんりょクラゲたちに紹介している。
今回の目次
「百万ドルの夜景」←意味がある!?
うわぁ、きれいな夜景だねぇ!
すごいでしょ、神戸の夜景は「百万ドルの夜景」って言われているんだよ。
それくらい価値があるって意味じゃないかな!
ふーん、確かにすごいもんね。でも百万ドルってのはちょっと言いすぎじゃないかな?
百万ドルって言うと、今が1ドル120円くらいだから………1億2千万円!??
確かに百万ドルは言い過ぎかもしれないね。
ふふふ、ところが「百万ドルの夜景」ってのは言い過ぎではないんだよ。
お父さん、何か知ってるの?
実はね、「百万ドルの夜景」っていうのは適当につけられた名前じゃないんだよ。ちょっと調べてみようか。
夜景の価値は計算できる?
百万ドルの夜景の元祖は神戸
1953年、当時関西電力副社長だった中村鼎さんが、六甲山から神戸の夜景を眺めた際「こっから阪神間の電灯がずらぁっとみえるなぁ。」と言い、六甲山から見える大阪、神戸、尼崎、芦屋の4市の電気代を調べてみたそうです。
すると、その金額は日本円で4億2900万円。これを当時の為替レート(1ドル360円)で計算すると、およそ119万ドルです。
当時アメリカではすでに美しい夜景に対して「百万ドルの宝石をちりばめたような」という言葉を使っていたこともあり、神戸の夜景が「百万ドルの夜景」と名付けられたということです。
つまり、この言葉は単に美しさを形容するためだけのもではなく、実際に神戸の夜景にはそれくらいの金額がかかっているということです。
今の神戸の夜景の価値は?
さて、実際に計算して百万ドルの価値があるとわかった神戸の夜景ですが、これが計算されたのは60年以上も昔のことです。
今と当時とでは為替レートも、物価も、電灯の数も全然違います。
そこで現在の神戸市の夜景の価値を、同じ計算方法で算出してみると……なんと1043万ドル!!
60年以上の時を経て、「百万ドルの夜景」は、言い過ぎどころか、むしろ控えめな表現になっていました。
日本の夜景の価値ランキング
日本三大夜景と言えば、神戸市、函館市、長崎市の3都市です。夜景を見るために足を延ばした人も多いのではないでしょうか?
では、美しさや人気は一旦置いておいて、単純な電力だけで見てみると、どの都市が価値があるのでしょうか。
神戸の夜景の価値を算出したものと同じ方法で比べてみます。
2013年に、夜景観光コンベンションビューローが発行した「夜景手帳」によると、以下の通りです。
10位:仙台市…689万9033ドル
9位:広島市…817万9620ドル
8位:神戸市…1043万6016ドル
7位:福岡市…1066万3840ドル
6位:京都市…1145万3487ドル
5位:札幌市…1206万0524ドル
4位:名古屋…1823万6549ドル
3位:横浜市…1958万6752ドル
2位:大阪市…2904万1494ドル
1位:東 京…8043万6671ドル
1位はやはり東京でした。日本円にすると約100億円です。
これがたった1日の電気代だというのですから驚きですよね。
日本の電力消費量は世界4位
2014年のデータによれば、日本の年間電力消費量は9953億kWhで、中国、アメリカ、インドに次いで世界4位です。
9953億kWhと言ってもピンとこないと思うので、電気料金に換算してみましょう。約26兆円です。
東京23区だけでも1日に100億円、年間だと3.6兆円もの電気料金がかかっているのですから、日本全体で考えると確かにものすごい電気料金がかかっていることがわかります。
では、電力自由化が始まった今、一人一人が電気料金を見直してみたらどうなるでしょうか。
1人がたった5%でも安くすることができれば、日本全体では1.3兆円もの電気料金が安くなります。それだけの量の電気を私たちは普段から使用しているのです。
まとめ
「百万ドルの夜景」は言い過ぎだー、なんて思っていたけど、本当はそれ以上にお金がかかっていたんだね。そんなこと考えもしなかったよ。
「恋人が手をつなぎながら眺める夜景は、残業で働く大人が作ってる。」なんて言葉もあるけど、夜景は一つ一つの電気の集まりだからね。
一日でそれだけの電気を使ってるんなら、電気の使い方や電力会社も、もう一度見直した方がいいかもしれないね。
それはいい心がけだね。
さて、それにしても寒いね。そろそろ帰ろうか!
えー、もう少しここにいようよ。
(おやおや、電太くんも電気問題について思うところがあるのかな……)
この夜景に百万ドル以上の価値があるって知ったら、すぐに帰るのがもったいなくなってきちゃったよ。
ハァ……電太くんはブレないなぁ。
-終わり-